第5章 波乱の揺れ
「せ、船長さん、お風呂空いたよ。入ってこないの?」
「いいよ。寒くないし」
リビングのソファにミノムシ状態のを座らせ、後ろから乾いたタオルで彼女の髪を拭きながらローは答えた。
寒くないのは事実だが、それよりいくらコラソンでもと二人きりにしたくないのが本音だ。
「それよりが風邪引かないようにしないといけないだろ」
濡れた子ウサギを世話するように、ローは甲斐甲斐しくの髪を拭いた。
自分でやれるよ、とには何度も言われたが、やめたくないので生返事でとぼける。
隣でコラソンが気まずそうにカップ麺の最後のスープをすすっていた。
「ほら、これでいいだろ」
停電でドライヤーは使えないが、何枚もタオルを使って乾かし、しっとりとの髪は整った。満足感があり、戸惑いがちにに「ありがとう」と言われ、さらにローは気を良くする。
「風呂上がりのは2割増しで可愛いけど、今は3割増しだな」
可愛いのでキスすると、は固まりながらも抵抗はしなかった。ローのすることを諦め始めた気配がある。このままキスするのが当たり前の関係に持っていきたい。
「目のやり場に困るな、もう……」
ぼやくコラソンにローは「悪いね、コラさん」と謝った。
「見られてると余計に燃えるんで」
後ろからの頭を抱き寄せ、見せつけるように頬にキスする。コラソンもすっかりローの行動に諦め気味だ。
「せ、船長さん! 船長さんがいくら女たらしでも、手当たりしだいにキスするのは良くないと思う」
意を決しては抗議の声を上げた。