第5章 波乱の揺れ
(すげー楽しい……)
が混乱して動揺して自分のことで頭をいっぱいにしているのが嬉しい。地震を怖がるよりそのほうがいいと思うし、ローも楽しいし、良いことだらけだ。
でも「もう一回したい」とせがんでも、は首を振るばかりだった。
「せ、船長さんは、いつもこういうことするの?」
唇を奪われないように口を覆って、はなんとか立て直そうとしている。
意地悪くローは「そうだな」と頷いた。
「他の誰かにしたことはないけど、にはいつもキスしたいなって思ってるよ」
それとなく壁際に追い詰めて、まだ濡れたの髪を触りながら言い聞かせる。
「だからもう一回してもいいか?」
耳元でささやき、盾のように口を覆う手を絡め取って下ろさせる。いっぱいいっぱいで抵抗も出来ずに固まってるをちょろいなと思ったし、だからそばで目を光らせて変な男が寄らないようにしないとと思うし、あとの思考は全部「可愛い」で埋まっていた。
唇が触れて、が緊張しているのがわかった。ぎゅっと目をつぶって硬直しているを安心させるために指を絡めて、ためらいがちに握り返してくるの手を親指でなぞる。
(腰細いな……)
今までに触れたことのある女の子の中でも、ダントツでは小さくて華奢だ。ちょっと力を入れたら壊れてしまいそうで、大切に触れなければと思うし、そうして触れるとすごく『女の子に触れている』感じがしてドキドキしてくる。
(もっとに触りたい……)
ちゅ、とリップノイズを立てるとびくっとしては体を引いた。至近距離で真っ赤になった顔を見ながら、これ以上可愛いって思う余地なんてないはずなのに、さらにそう思う。可愛すぎて心臓がゾクゾクしてどうにかなりそうだ。
抱きしめて体を密着させてもう一度キスしようとすると、手を突っ張ってローは拒まれた。