第5章 波乱の揺れ
「お前さ、ちゃん好きすぎるだろ。俺まで赤面しちゃったわ」
ほんとにちょっぴり頬を赤くしながら、コラソンにコーヒーを渡され、「さあ、何のことだか」とローはとぼけた。
「コラさんを口説いた覚えはないけど。も」
「うわぁ……俺お前をそんな悪い子に育てた覚えありませんよ?」
コラソンに育てられた覚えはローにもなかった。彼を世話しに通った記憶ならあるが。『ゴメン急に仕事に行かなきゃいけなくなった! いつ帰れるかわからない! 生ゴミ捨てといて! フィカちゃんのお世話よろしく!』と連絡がくるたびに合鍵で通って、ゴミを出したり、フィカス・ベンガレンシス(観葉植物)に水やりしてるの誰だと思ってるんだろう。
しかも大体急に仕事に行くときは焦って何かしらドジをやるので、割れた皿の片付けだったり、こぼした飲み物の処理だったり、結構な労力を何度も払っているのだが?
ローがコラソンに冷たい視線をやると彼はしょぼくれた。色々思い出したらしい。
「ええと……ロー君、腹減らない? カップ麺食べる?」
「いいよ。今日とラーメン食べたから」
「そっか……あの、俺腹減ったから食べていい?」
「好きに食べなよ、コラさん」
呆れて言ったら、えへと笑ってコラソンはいそいそとカップ麺を作りに行った。アチィ!と聞こえてきたのはお約束である。