• テキストサイズ

彼は女たらしの悪い人【ONE PIECE】

第5章 波乱の揺れ




「そういうことじゃない。ゆっくり入ってくれ。急がなくていい」

 戸惑うの気配に、なるべく浴室のドアに近寄って本音を言う。

「急に顔が見たくなって、会いたくなったから言っただけだ。急かしたかったわけじゃない」

 の反応は言語化できない変な声だった。猫がしっぽを踏まれた時に似ているかも知れない。

「……船長さんは本当に女たらしの悪い人だと思う」

 消え入りそうな声に、ますます顔が見たくなる。

「どうした? 声熱っぽいぞ? のぼせたか? 身動きできない?」

 何なら今すぐ助けに行くとばかりにローが意地悪く声をかけると、「平気!」と焦って怒った声がした。からかうのが楽しい。程々にしないと嫌われると十分わかっているのだが。

「がのぼせないように、ここで見張ってようか」
「やー! 出れなくなっちゃう……」

 最後のほうはぶくぶくぶく、とお湯に声が消えていった。
 冗談だと笑って、「ゆっくり温まってくれ」と声をかけ、ローは脱衣所を出た。
/ 97ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp