第5章 波乱の揺れ
「コラさん」
「外真っ暗だし、迎えに来たんだ。あぶねー、行き違うとこだったな」
が困惑している気配を感じ、ローは「俺の遠縁のコラさん。コラさん、こっちは」と二人を紹介した。
「えと……です、こんにちは」
「こんにちは。よくここまで歩いて来たね。雨の中大変だったろ」
巨人並に背の高いコラソンは、かがんでに話しかける。時刻的にはどう考えても「こんばんわ」の時間帯なのだが、二人とも天然で気が合うのかもしれないなとぼんやりローは考えた。
「寒いし早く家に行こうな。電気はまだ付かないけど、ガスと水道は無事だからお風呂に入れるよ」
を励ますように明るく言ってコラソンは歩き出したが――。
「……コラさん。そっち道、違わないか?」
「え!?」
急停止して周囲を見回したコラソンは、「こっちだったわ」とすごすご戻ってくる。
本人はしゃんぼりしているが、の緊張はほぐれたようだった。
「コラさん方向音痴なの?」
「昔からドジが治らないんだよなぁ。ローには頭が上がらない」
「船長さん、頭いいもんね」
「ちゃん、その船長さんって何?」
お船の船長さん!とはニコニコ説明した。かけらも背景がわからないが、コラソンもフィーリング型なので「船長って言ったら船だよな!」などと言っている。
(そうか……この二人似てるんだな)
どちらもローにとって希少な「一緒にいてほっとする相手」なので、二人が仲良く話していると妙に嬉しい。ただでさえ落ち着く空間に花が飾られたようなレベルアップ感がある。