第4章 秘密のデート
「そういえば船長さんの誕生日は?」
「10月6日」
「秋生まれだね」
忘れないようにはスマホを取り出した。しかしカレンダーの使い方がわからず手間取っている。
後ろから覗き込んで、ローは使い方を教えてやった。
「さすが都会人はハイテクに強い……」
「ハイテクって言葉が死語だろ」
「そ、そんなことないよ。おばあちゃんよく言うよ」
「古語か」
「むー。じゃあ逆に流行語って何?」
問われるとローも返答に困り、周囲を見回した。ちょうどいいものがあった。
「あれとか」
フードコートのタピオカ屋を差すと、は首を傾げた。
「飲んだことないのか」
「あの黒いの何?」
「タピオカ」
「……豆の一種?」
説明が難しいのでローはを連れて列に並んだ。ラミがはまっていて、友人と「タピりに行こう」なんてよく言っているのを聞いたが、実物を飲むのはローも初めてだった。
並びながらスマホで調べると、詳しい説明が出てきた。
「キャッサバから作るデンプンらしいぞ」
「デンプンってジャガイモに入ってるアレ? ヨウ素液で染まるやつ?」
「ああ」
「ミルクティーにジャガイモ……」
そう聞くとあまり美味しそうな気はしなくなってきた。
お互い買ってフードコートのベンチに座るが、どっちが先に飲むか、つい二人でうかがってしまう。
先に口をつけたのはだった。太いストローを通って黒いデンプンが吸い込まれていく。
「なんかモキュモキュしてる」
食べたは顔をほころばせた。
「ジャガイモの味するか?」
「ううん」
を毒見役にしたローもすすってみた。
「すげぇ甘いな」
「そう? 私はもっと甘くてもいいな」
はすっかり気に入ったようだ。