第3章 地獄の合コン
「キャプテン、こっちです!」
待ち合わせのレストランで、シャチが上機嫌で手を振る。
窓に面した、半個室のイタリアン。内装も洒落ていて、よくもまあこんな店見つけたものだと感心する。
「いやぁ、よかった。嫌がってたし、すっぽかされるかと」
おしぼりを渡して、シャチはローをもてなした。自覚があったのかとびっくりだ。
「これっきりだからな」
「はい」
ニコニコしながらシャチは必要もないのにテーブル周りをセッティングしている。期待と緊張で落ち着かないようだ。
「俺合コン初めて。緊張するね~」
ストローで飲み物をすすりながら、ベポが頬を染める。同意してペンギンが楽しそうにベポの肩を叩いた。
「キャプテンはこういうの慣れっこでしょうけど」
「うるせぇ」
苦手だとわかってて言っているペンギンを睨み、ローは窓際の席に座った。
「こんにちは~」
時間ピッタリに女子たちがやってきた。全員毛色の違う美人。
シャチがすっ飛んでいって、席に案内する。内心の歓声が聞こえてきそうだ。
「ナミよ。保育士志望で麦わら短大に通学中。好きなものはお金とミカン」
「ノジコ。アパレル志望で今は服飾の専門学校に通ってる。好きなものは服とミシン」
「ビビです。アラバスタ大学で地域経済学を専攻してます。好きなものはカルガモとムルキーヤ」
「し、しらほしと言います……。好きなものは鯛焼きと、海ぶどうのパスタで……リュウグウ大学の文学科専攻です……」
女子たちの自己紹介を聞きながらローはほっとしていた。全員知らない相手だ。
正直、寝た相手がまざってたら気まずくて仕方なかった。