第3章 地獄の合コン
「そういえばお前、いま習い事は? ヴァイオリンまだやってるのか」
「うん。なんで?」
最近練習してるところを見た(聴いた)ことがないから。しかしそれを言うと怒らせるだけの気がして、ローは鞄からのポスターを取り出した。
「どうしたのこれ? 可愛い」
手書きのポスターをラミは高評価した。
「拡散してくれって頼まれた。貼れる場所あったら貼ってくれ」
「いいよ。でもこれ、猫の写真はないの?」
あるが、が抱いてる写真をラミを見られるのはまずい。黙り込んだローにラミは察した。
「そういうこと? わかった、私もお兄ちゃんがポイ捨てする女の子の顔は見たくない」
「しない」
即否定したローに、ラミはびっくりした。
「本気で付き合ってるの?」
「付き合ってない」
「えー……」
付き合ってない=体だけの付き合い、というのがラミの中では確定しているようだ。
「この人は大事にしたほうがいいと思うよ。いい人なの伝わってくるもん。……絵はあんまり上手くないけど」
子猫のイラストは愛嬌があるが、お世辞にも上手とは言えなかった。
「けなすなら返せ」
怒った振りで取り上げようとすると、「そこまで!?」とラミは笑ってポスターを遠ざけた。
「ちゃんと協力するから! お兄ちゃんを真人間にしてくれるかもしれない人だもん」
ポーラともまた寝てしまったし、それはどうかなと思ったが、ラミがやる気を出しているので、一枚ローは預けることにした。