第3章 地獄の合コン
家に帰ると、リビングの大型テレビでラミがドラマを見ていた。
「おかえり。カレー作ったよ。食べる?」
「ああ。……どういう風の吹き回しだ?」
「出前とお弁当に飽きただけ」
キッチンの寸胴鍋のフタを持ち上げると、大鍋いっぱいにカレーが出来ていた。食べきれるんだろうか、これ。
温めてリビングに行くと、ソファに寝そべっていたラミはローの座る分を空けた。
「なに見てる?」
「友達以上恋人未満ってドラマ。ミホークが出てる」
ラミの好きな渋めの俳優だ。
カレーを食べながら暇なのでローもドラマを眺める。
ヒロイン役の若い女優が三人いて、最終的に誰とくっつくかが見所のようだ。
付き合うようで付き合わない微妙な関係なまま、三人との関係が進んでいく。
「これ単に都合よくキープしてるだけじゃねぇか……」
二人で出掛けようとしたら相手の都合が急に悪くなって、他の女を呼び出して一緒に行くあたりでローは音を上げた。男にまったく共感できない。
「そう? 急に誘われて会えたら嬉しくない?」
若手イケメン俳優キャベンディッシュへの盲目からか、珍しくラミがかばった。
「お前それ便利に使われるだけだから覚えとけよ」
「お兄ちゃんが言うと説得力あるね」
否定はできずにロー黙った。ラミは気にせず続ける。
「でもやっぱり、好きな人にはいつでも会いたくない?」
意外な純情ぶりだ。
「好きな男でも出来たのか?」
「そういうんじゃないけど……」
(出来たんだな……)
問い詰めると意固地になりそうなので追及は避ける。褒められた付き合い方をしてない自覚はあるので、口うるさく小言を言う気にはなれなかった。