第3章 地獄の合コン
「まったくもう。こっちは明日も仕事なのよ。わかってる?」
避妊具を使い尽くすまで止まらなかったローに、ぐったりと体を横たえながらポーラは苦言を呈した。
ローは「ああ」と生返事だ。全然聞いてないらしい。なので情熱的ですごくよかったと言うのはやめておいた。
「……シャワー浴びてくる」
お先にどうぞと手を振るポーラをベッドに置いて、ローは一足先に帰る準備を始める。
熱いお湯を頭から浴びながら、違う女の子のことを考えた。
(あんな顔するが悪い……)
キスしたい衝動は、それ以上の行為でなんとか収まったが、ずっと頭の片隅にの存在があって、行為中も離れなかった。
『私が16番目?』
無邪気にあんなこと言われて、心臓が止まるかと思った。
(ならセフレになんかしない……大事にする)
色んなところにところに連れていって、美味しい物を食べさせたい。喜ぶ顔が見たいのだ。
遠出したり、旅行に行ったり、とはそういうことがしたい。
(……何考えてんだ)
栓ない『もしも』にローはうめいた。
に手を出すなんて論外だ。ローにも一応、良心はあった。
妹より年下をそういう風に見るなんてどうかしている。
未熟児だったラミは小学校に上がるまで体が弱かった。両親は忙しく、ローもずいぶん面倒を見たのだ。
当時はラミも「お兄ちゃん」にべったりで、片時も離れようとせず、自分が妹を守らないといけないとローは常々思っていた。
転機はラミの小学校受験。両親の母校でローも通う私立小を受験したラミは、運悪く落ちてしまった。
『お兄ちゃんと同じ学校に行く!』とラミは大泣きしたが、そういうわけにもいかず、近くの公立小学校に行くことになった。
結果、ラミは友達と遊ぶ楽しさに目覚め、「お兄ちゃん」のことはコロッと忘れるようになった。
あれほど見事な手のひら返しを、その後、ローは経験したことがない。一緒に通えなくなってさぞ消沈しているだろうと思ったら、入学三日後に、
『べつに? ケイミーたちとあそべるし』
お兄ちゃんにそこまで懐いていた訳でもないしと言わんばかりの態度で言われ、呆然とするしかなかった。