第3章 地獄の合コン
「ただいま」
帰るなり息を止めて子猫のところに直行したを見て、祖母は心配して声をかけた。
「ちゃん? 何かあったの?」
「……おばあちゃんやみんなの言う通り、船長さんは悪い男の人だったよ」
ぎゅっと子猫を抱きしめては言った。
「あらあら、まあまあ。何か言われたの?」
「……勘違いしそうになること」
少なからず憤慨しながらは答えた。
『は一番に決まってるだろ』
あんなセリフがさらっと出てくるなんて、本当に悪い男だ。結局ポスターの話だったが、まだ心臓がドキドキしている。
(女の人に言い慣れてるんだろうなぁ)
かっこいいし、優しいし、話していて楽しい。もてるのだろうと思うし、女たらしだというのも理解できる。
好きにならないよう気を付けているが、だからこそ彼にも、もうちょっと気をつけて欲しい。あんなことをさらっと言わないで欲しいのだ。
ふふふ、と祖母は笑って「ごはんにしましょ」と声を掛ける。
「着替えてらっしゃいな」
「うん。……あ、次の土曜日は晩ごはんいらない。一緒にラーメン食べに行く約束したの」
「あらまあ、二人で?」
「ち、違うよ! それじゃデートになっちゃう」
「そうねぇ。デートでラーメン屋さんはないわよねぇ」
祖母の言葉には肩を落とした。はじめからデートのつもりではなかったが、そういう言葉を聞くとちょっぴりショックだ。女の子扱いされてないみたいで。
「……おばあちゃん、買い物行きたい。スカート欲しいの」
「あらまあ。ふふ。ええ、可愛いのを買いに行きましょうね」
子猫が元気に「ニャア」と鳴いた。