第3章 地獄の合コン
「……船長さん、シャチと会った?」
「いや、会ってはない」
ローが答えると、はなにか言いたげに口をつぐんだ。
「振ったことなら、気にしなくていい」
「知ってるの?」
「ペンギンもベポもな。あいつたまに彼女欲しさで暴走するんだ。今日も合コンしたいってメッセージが170件」
うわぁ、とはドン引きした。ちょっといい気味だ。
隣に座ってローはの話を聞いた。
「シャチのことは嫌いじゃないけど……いきなり言われてびっくりしちゃって。でも私じゃなくても、誰でもよかったのかな」
返事に後悔はないようだが、はしょんぼりしている。好きだと言われて多少は嬉しく思っていたのに、翌日には合コン開催に夢中になっていると聞いたら良い気はしないだろう。
バラしたローのせいだが、罪悪感はなかった。何もウソはついていない。
「ラーメン屋さんも行けなくなっちゃった」
「なんで」
びっくりしてローは聞き返した。
「シャチと気まずいなら、あいつ抜きで行けばいいだろ」
「仲間はずれにしちゃっていいの?」
「いいだろ。合コンで彼女作る気らしいし」
無情にローが言い切ると、はほっとした顔をした。
「笑わないで聞いてほしんだけど」
「ああ」
「まだ友達できないから、一緒に遊んでくれる人がいなくて。本当はラーメン屋さん、楽しみにしてたの」
安堵したように笑うは本当に可愛かった。シャチのバカさ加減に呆れるばかりだ。
「次の土曜は? 夕方からになるが、帰りは送るから」
「大丈夫!」
あえてローは合コンの日を指定した。行くことは決めたものの、正直気が進まないのも確かだったのだ。でもその後にとの楽しい予定があれば耐えられる。