第3章 地獄の合コン
人脈を広げる上で部活は都合がいいらしいが、あの中に入ってしまったら確実に目立つのでローは無所属を貫くしかなくなった。
野生のクマのような運動神経を持つベポを筆頭に、ペンギンもシャチも真面目に打ち込めば全国大会を有に狙える運動能力だ。その3人と付き合っていたので、必然的にローの運動能力もそこそこ高い。
どれくらいかというと、高校に上がってすぐ体育でバスケ部のエースといい勝負をしたくらい高い。おかげでその試合のあと、知らない女からひっきりなしに告白されるわ、女にもてるために猛特訓してると陰口を叩かれるようになるわ、散々だった。
告白はその後しばらくして飽きたのか大人しくなったが(本当は規律の厳しいファンクラブが出来て、抜け駆けする女子に罰則ができたから)、男子からの陰口はずっと続き、面倒くさくなって体育は以後サボるか手を抜くようになった。
医大のレベルの低い運動部に入ったら、当時の比じゃないことになるだろう。うんざりだった。
「ロー君……!」
のポスターを貼って、外に食事をしに行こうとしたら知らない女に呼び止められた。
(なんで知らない女が俺の名前を知ってるんだよ……)
ホラーか? 返事をしたら取り憑かれるとかいうアレか? 無視しようか悩んで、「猫のことなんだけど」と言われ、足を止めてしまった。
「ポスターに連絡先があったろ。そこに連絡してくれ」
「でも、ロー君に直接言ったほうが速いかと思って」
「……一人暮らしか?」
「え、うん」
「ペット可のアパート?」
「違うけど」
「ふざけてんのか」
低い声を出すと、女は固まった。話にならないので無視してローは踵を返す。
当人ではなく、飼える誰かの紹介かとも思ったが、ポスターを貼って30秒で了解が取れるとも思えない。どのみち話を聞く価値はなかっただろう。