第3章 地獄の合コン
相変わらずストーカーみたいにシャチからはメッセージが来続けていた。怖いから無視してローはシャワーを浴びに下りる。
リビングに下りても人の気配がなかった。両親は帰ってこなかったか、もう出たのだろう。
充電器からスマホがなくなっているので、ラミも登校したようだった。誰も居ないほうが正直落ち着く。
(今日は二限からだから……それでもあんまり時間ねぇな)
せっかく外部受験してまで入った大学なので、気分が最悪でも休む選択肢はなかった。
手早くシャワーを浴びて、行く支度を整える。
スマホは『うっかり』水に落としてダメにしようかと誘惑に駆られたが、シャチからの連絡はともかく、大事なデータは他にもあるので思いとどまる。
とりあえずうるさいので、シャチからの着信は消した。
(ん……?)
よく見るとシャチ以外からもメッセージが来ていた。
からで、写真が一枚。
里親を募集するポスターを撮ったものだった。クレヨンで描いたらしいカラフルな線に、彼女が描いたものだと想像がついた。
写真を載せる方法がわからなかったのか、肝心の子猫さえのイラストだった。このデジタル時代に全部アナログとは逆に恐れ入る。
笑っていると、ぽこん、と追加でメッセージが来た。
『かくさんしてください』
メッセージが送り直されてくる様子はない。昨日はスタンプだけだったし、どうやら漢字に変換する方法がわからないようだ。
これも四苦八苦しながら送ってきたんだろうと思うと、ローは声を出して笑ってしまった。
勉強を教える前に、一度スマホの基本的な使い方を教えてやるべきかもしれない。
『了解』
短く返信すると、ローはスマホをポケットにしまった。
(……行くか)
のおかげで、だいぶ気分は変わっていた。