第3章 地獄の合コン
アラームの音でローは目を覚ました。びっしょりと寝汗をかいて、心臓はひどい動悸がしていた。
(ひでぇ悪夢だ……)
よく覚えてないが人生で一番ひどい悪夢だったことだけはわかる。ひどすぎてローは逆に前向きになった。
(合コンには行くなってお告げだな)
死んだ祖父母か、さもなくば子供の頃に解剖したカエルが告げているのだ。
合コンに参加なんかしたら革のバッグになって死ぬと言って断ろう。爽やかな気分でローは決意し、昨夜から切りっぱなしだったスマホの電源を入れた。
『会場決まりました! 女の子も抽選で決まりましたからね! 倍率25倍以上だったんですよ! 迷うといけないんで、当日は迎えに行きますね! キャプテンの大学の近くにしましたから!』
(……悪夢の続きか?)
絶望的な気分でシャチからのメッセージを何度も読み、無意識にローは削除した。
(よし……)
なんかシャチからメッセージが来ていたような気がするが気のせいだ。夢見が悪かったから、うっかり幻覚を見たに違いない。
『キャプテーン! 日程見てくれました? 返事くださいね』
『届いてないですかー? 直接伝えに行きましょうか?』
『女の子たちみんな、キャプテンに会いたがってるんだから無視しちゃダメですよ!』
『すっぽかしたら大学に乗り込みますからね!』
ぽこんぽこんぽこんぽこんぽこんぽこんぽこん。
シャチからは執拗にメッセージが来続ける。
(何なんだあいつ、悪夢の使者か……!?)
奴こそが悪夢の元凶のような気がしてきた。冷静に事態を振り返ればまったくその通りである。
ローは思わず、『子泣きじじい 撃退』で検索してしまった。
(整体じゃ効果がないから、鍼灸がいいのか。それで子泣きじじいを背負ってるみたいな肩こりから解放された、と)
真面目に調べた自分がバカみたいで、ローはスマホをベッドに投げ捨てた。
考えると吐きそうなので、とりあえず忘れよう。