第3章 地獄の合コン
合コンに行ったら、なぜか居たのはヘビとワニとカエルとイグアナだった。
固まるローに上機嫌のシャチが手を振る。
『遅いですよ、キャプテン』
胸倉掴んでトイレに連れ込み、『なんだあれ!?』と詰問すると、シャチは心底不思議そうだった。
『何がです?』
『聞くか!? 参加者が全員、爬虫類っておかしいだろ!』
『やだなぁ、カエルは両生類ですよ』
『カエルが合コンの場にいる時点でおかしいだろうが!!』
『キャプテン、いくら普段可愛い子ばっかり相手にしてるからって女の子をカエル扱いはひどいですよ』
『はぁ!?』
みんな待ってるから早く行きますよ、とシャチはローを連れて行く。帰ろうとしたのに、ものすごい力で抗えなかった。
そのまま半個室の一番奥のソファ席に追いやられ、ローは逃げられなくなってしまった。
『ローさんが好きなのは何革のバッグ?』
『私は断然、パイソン派』
『革といったらアリゲーターよ。腹と背で全然印象が違うのよ。でも最近は乱獲の規制も厳しくて』
『乱獲といえば、私よく、近所の医者志望の子供に解剖されたわ。ローさん、あなたとってもその子供に似てるのね。解剖したくなっちゃう』
頼むから帰してくれ。
助けを求めて悪友たちを見れば、彼らは動物に退化していた。北極の覇者・シロクマはご馳走とばかりにイグアナを平らげ、白黒の哺乳類シャチはライバル退散とばかりに飛べない海鳥ペンギンを食い散らかしている。
『解剖していい? 解剖していい?』
ワンピースを着たカエルが長い舌をローの頬に吸着させて引っ張ってくる。引き剥がそうとすると、子泣きじじい(シャチ)に変わって、
『合コン付き合ってくれるって言ったでしょ!』
泣きながら彼はローを責めた。