第3章 地獄の合コン
高速でシャチはスマホの液晶をタップした。止める間もなくにメッセージを送る。
『好きです。付き合ってください』
数十秒後、からの返信は簡素なものだった。
『お友達でいましょう』
シャチは膝から崩れ落ちた。口から魂が抜けている。
「あーあ……」
「だからがっつくなって言っただろうが……」
「会って二度目でそんな告白されたら誰だって引くわ……」
ベポ、ロー、ペンギンにまで言われて、なけなしのシャチの魂がさらに抜ける。
瀕死になってしまったシャチを見かねて、ベポがフォローした。
「で、でもほら、友達ではいられるわけだし。また子猫を見に行けるよ」
シャチは端から猫なんてどうでもいいだろうと思ったが、他に慰めの言葉も浮かばないのでローは黙っておいた。
あまりに見事な玉砕で、立て直しようがなかった。
「キャプテン……」
「あ?」
急に呼ばれて、嫌な予感にローは眉根を寄せた。
「女の子紹介してください」
やっぱりか。心配する気も失せて「断る」とローは短く拒否した。
「ずるいですよ、自分ばっかり女の子独占して!」
「してない」
「合コンしましょう! チャンスは平等に分け合うべきです!」
「なんでだよ」
「セッティングしますから! キャプテンが来るって言えば可愛い子たくさん集まるし!」
「冗談じゃない」
「じゃあラミちゃん紹介してください!」
「するわけねぇだろ!」
子泣きじじいのようにしがみついてくるシャチをローは足蹴にした。しかし号泣しながらシャチは離れようとしない。
「理不尽だー! 俺のほうがキャプテンより100倍女の子大事にするのにーっ」
「なら、俺を、頼るなっ」
ローはなんとかシャチを引き剥がそうとしたが、無理だった。通行人にジロジロ見られ、ペンギンとベポは他人の振りをして離れていく。
「1回! 1回だけでいいですから! 傷心の俺に付き合ってくださいよ!!」
1時間ローは拒否し続けたが、それでもシャチが諦めないので、最後には根負けした。