第3章 地獄の合コン
腹いっぱいお好み焼きをご馳走になると、遅くならないうちにローたちはの家からお暇した。
は子猫を抱いて見送りに来てくれ、
「また遊びに来てね」
ふりふりと子猫の前足を振った。シャチとペンギンが鼻の下を伸ばし、ベポが猫にめろめろになったのは言うまでもない。
「お好み焼きおいしかったねぇ」
帰り道をたどりながら、4枚も食べたベポが満足そうに腹を撫でる。『男の子がよく食べるのなんてわかりきってるからお好み焼きにしたのよ』との祖母は笑っていたが、悪いことをしてしまった。
手土産では釣り合わないだろうから、また今度何か埋め合わせをするべきだろう。
シャチとペンギンは別の意味で夢心地だ。
「ちゃんマジ天使……」
「癒やされるわ……」
完全同意だがゆるみきった顔まで真似する気にはなれず、ローは眉をひそめてドン引きした。
見るに耐えないので現実に引き戻そうと指摘する。
「あんだけ可愛いんだから、もう彼氏いるかもな」
天国から地獄とばかりに、絶望してシャチとペンギンは口を開けてローを見た。予想以上の反応にさすがのローもたじろぐ。
「当然だろ」
声を上げてシャチとペンギンは号泣した。
「これだからモテる男は……っ」
「夢くらい見たっていいじゃないですか……っ」
男泣きする二人の横で、んーとベポがスマホを操作する。ぽこんとベポのスマホに誰かから返信があった。
「、彼氏はいないって」
0.1秒で泣き止んで、シャチとペンギンはベポに飛びついた。
「マジで? ほんとに?」
「ウソなら俺たち絶望で死ぬぞ」
ローも横から覗き込むと、ベポのスマホには確かにから返信があった。
『って彼氏いるの?』
『いないよ』
まぎれもない朗報に、二人は雄叫びを上げる。うるさい。