第2章 猫を見に行こう
「何ですかそれ! 俺らにも勉強教えてくれたことなんかないくせにっ」
「お前らの成績なんかどうでもいいだろ」
「こういう人だよ! ずるいでしょ、特技そんな風に使うなんて!」
「じゃあお前らも何か教えてやれ」
に期待した目で見られ、シャチは「体育なら……」と小さくなった。
「体育なら俺も教えられるよ!」
唯一の特技にお好み焼きを頬張るベポが立候補する。この中で一番運動神経がいいのはベポだ。しかし。
「体育は大丈夫」
の返答はきっぱりしていた。
(猫を拾いに川に下りた時も、かなり身軽だったからな……)
運動神経は悪くないのだろう。
はうかがうようにローを見た。
「勉強見てもらうの、試験の前でもいい?」
「ああ。近くなったら連絡くれ」
そういえばローだけまだ連絡先を交換していない。は満面の笑みで「スマホ取ってくる!」と走っていった。
「キャプテン~!!」
シャチの抗議の声は地獄から響いてくるようだった。
「二人きりで勉強見るとか、どう考えても手ぇ出す口実でしょ!」
「一緒にするな」
「日程決まったら絶対教えてくださいよ! 見張りに行くから!」
「断る。邪魔なだけだろ」
息を切らしてはスマホを持って戻ってきた。
「ちょっと待ってね」
真新しいスマホを見るに、まだ持ち始めて日が浅いようだ。先日もほとんどシャチとペンギンが登録の仕方を教えていたなと思いつつ、ローは気長にの準備が整うのを待つ。
「そこ押して、『友達登録』だよ」
結局見かねたベポが横から教えて、やっとローはと連絡先を交換した。アイコンが拾った子猫の画像になっていて、ひと目でわかる。