第2章 猫を見に行こう
家の外観は伝統の日本家屋だが、ダイニングはカントリー風だった。ドライフラワーが飾られ、棚にはよくわからないたくさんの調味料が並んでいる。
大きなテーブルの真ん中にホットプレートが置かれ、その横に材料が用意されていた。
「ちゃんあとできる? ちょっとお隣に行ってくるから」
大丈夫、とは祖母に元気よく頷いた。
「誰がひっくり返す?」
祖母を見送ると、へらを持っては楽しそうに仕切り始めた。ヘラより先に焼く係を決めるべきだが、可愛いのでみんな笑って流す。
ホットプレートに手をかざしてペンギンが言った。
「温まってるし、もういいかな。シャチ、油とって」
「はいよ」
高校時代、厨房でバイトしていたペンギンが手際よくタネを回して具をのせていく。
「ちゃん、ひっくり返すのやってみる?」
「いいの? やってみたい!」
ペンギンに教えられながら、は慎重に生地の下にへらを差し込んだ。
「ゆっくり持ち上げて……くるっと」
「ん!」
ちょっと飛んだがまずまずの結果だ。
「上手だね!」
不器用さに定評のあるベポが褒めそやすとははにかんだ。可愛い。
「あとはこのまま火が通るのを待つだけ。ちゃん、お皿ある?」
「持ってくるね」
がキッチンに行くと、シャチがひそひそとペンギンにささやいた。
「ちゃんがひっくり返したやつ、俺大きめで」
「誰がやるか。俺とちゃんの合作だぞ」
いそいそとペンギンは焼き上がりを半分に分けている。やり方が露骨だ。
勝者の笑みを浮かべながら、ペンギンはが持ってきた皿に半分を載せて手渡した。
「はい、まずはちゃんの分」
「ありがとう!」
上手に焼けているお好み焼きに、は顔を輝かせた。
「んでこれは俺の――」
ペンギンは残り半分を自分用に確保しようとしたが、「もらうぞ」とローは横から自然にぶん取った。