第2章 猫を見に行こう
「抱いてみる?」
「いいの!?」
自称猫好きのシャチより早くベポが返事をして、そっと子猫を受け取った。
「可愛いねえ」
すっかりまなじりを下げて、ベポはめろめろだ。
横からローも手を伸ばして撫でようとしたが、見事な猫パンチをくらった。
「いてっ」
手首のヒビに響いて痛がるローを、は「大丈夫?」と大きな目でのぞきこんだ。
「船長さん、手、どうしたの?」
大げさな包帯はやはり人目を引いてしまうようだった。
「大したことない。転んでヒビが入っただけだ」
事実なのにペンギンとシャチが横から「本当はケンカなんだよ」とにチクる。
「船長さん、不良なの?」
「そりゃあもう。俺らも昔ボコボコにされたんだ」
「いつの話してんだよ」
そんなの初対面で因縁つけられた一回だけだ。
「大体理由忘れたのか、いじめっ子」
忘れてたのか、二人はバツの悪い顔をする。
「二人はいじめっ子なの?」
「昔の話だよ」
「もう改心しました」
不安そうなに必死で好青年をアピールしている。
いじめられっこのベポは子猫に夢中だった。
「ちゃんはどんな子供だったの?」
アグレッシブにシャチは切り込んでいく。
きょとんとしては首を傾げた。
「アルバム見たいなー」
完全に猫は口実だったようだ。悩んでは、
「変な顔ばっかりだからダメ」
と首を振ってしまった。
「絶対可愛いよ。ダメ?」
しつこいシャチには困った顔をする。
ローは左手で容赦なくシャチの襟を後ろから引っ張った。
「悪いな。うるさいなら連れ帰るから」
ギブギブ、とシャチは青い顔でローの腕を叩いた。