第2章 猫を見に行こう
庭から回って、は4人を縁側に案内した。人数分の座布団が置かれており、日当たりのいい場所に仔猫の入ったダンボールが置かれている。
「ちゃん、これ……ごめん、ちょっと連絡不足で多いかもなんだけど、お家の人と食べて」
次々に渡される手土産に笑っては「ありがとう」と言った。
「余ったら誰かにあげちゃってもいいから」
「食べきれるかな? 本当にごめんね」
「おばあちゃんのお友達が多いから大丈夫だと思う。お茶持ってくるね。コーヒーがいい人いる?」
ローだけが手を上げて、は「猫ちゃん見てて」とぱたぱた駆けていった。
「うわぁ、ちっちゃいねぇ」
ベポが興味津々でダンボールの中を覗き込む。
「本当、可愛い……」
が駆けていったほうを見ながらシャチが頷く。
「自称猫好きのくせに一回も猫見てねぇじゃねぇか」
呆れてローが指摘すると、シャチはいけしゃあしゃあとのたまった。
「俺の子猫ちゃんはちゃんだから」
「キャプテン、あそこにシャチを叩き込むのにちょうど良さそうな池がありますよ」
「よし。ベポ、ぶちこめ」
「えー、なんで俺!?」
ローは包帯の巻かれた右手を示した。しょうがないなぁとベポはシャチを抱えあげる。
「ちょっと待って! キャプテン!」
ローが言うならベポは本当にやる。青ざめてシャチは慈悲を求めた。
「ダンボールに入ってればが拾ってくれるかもしれねぇぞ」
「マジすか? でかいダンボールないかな」
いそいそとペンギンまで探し始めた。
「何か捜し物?」
お茶とアイスコーヒーのグラスが載ったお盆を持って、は戻ってきた。ローたちの手土産を盆に乗せた老女も一緒だ。
「あらあら、まあまあ。ちゃんのお友達って言うからてっきり女の子かと思ったら、“いけめん”さんだったのね」
花柄のワンピースの上にエプロン姿の老女は、少女のように笑った。