第1章 身投げじゃなくて
「女たらしの人なの?」
「そうそう。泣かせた女は数しれず」
ペンギンまでのっかる。今までの行いが行いなので否定はできないが、ここでバラさなくてもいいだろうに。
「ちょっと待て」
「用があったら俺らから連絡するから」
「おばあちゃんが待ってるんだろ? 気をつけてな」
「今度一緒に遊ぼうね!」
シャチ、ペンギン、ベポはにこやかに手を振ってを見送る。
は一瞬ローを見たものの、警戒した顔でぎゅっとスクール鞄の持ち手を握ると、三人に手を振って駆け出して行ってしまった。
「お前ら……」
あんまりな仕打ちに低い声を出すローに、シャチたちは言い募る。
「あんな可愛くていい子がキャプテンの毒牙にかかるの見てられる訳ないでしょ!」
「ポイ捨て反対! 女の子は大事に!」
「あの子にまで手ぇ出したら縁切りますからね!」
なんだこのぐうの音も出せない雰囲気。流されそうになったものの、ローは言い返した。
「お前らが手を出すのはいいのかよ」
「俺らは本気なんで」
「ポイ捨てなんか絶対しません」
「大事にするもん」
まるでローには人権もないような扱いだった。自業自得の部分もあるが、ひどすぎるような気もする。
(最初に知り合ったの俺だぞ……)
険悪な雰囲気になりそうなところを、ペンギンが「さ、ラーメン食べに行きましょ」と仕切り直した。