第1章 身投げじゃなくて
「ラーメン食べたいけど、おばあちゃんたちがごはん作って待ってるから」
鞄に荷物を戻して、は帰る様子を見せた。
「じゃあまた今度。連絡先交換しようよ。猫も見せてもらいたいし!」
鮮やかな手腕でシャチがスマホを取り出す。まるでナンパ師だ。
「ええと……?」
言われるままにはスマホを取り出したが、操作にまごついている。横から覗き込んで指示し、シャチ、ペンギン、ベポの三人はと連絡先を交換した。
急展開にローはついていけない。
「船長さんは?」
「俺は――」
こんなのナンパじゃないかという頭があって、どうしても気が咎める。相手は妹より年下の、最近都会に出てきたばかりの少女だ。
警戒心のない様子に心配になるし、なんだかつけこむようだと思っていたら、シャチに爆弾を落とされた。
「キャプテンは女の人の連絡先に不自由してないから」
刺されればいいなんて言われていたが、まさかこんな形で裏切られるとは。
びっくりしてはローを警戒する。