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[鬼滅]甘さも過ぎれば毒となる

第1章 咲き初め




「 困りましたね。脈はありますが、血鬼術を直接受けたのであれば、昏睡等の可能性もありますし、一旦私の屋敷で様子を見ます。 」

「 嗚呼、処遇は任せる。で、他の奴らは? 」

「 そちらは問題ありません。今、手当させていますから。 」

「 そうか。まァ、鬼は殺した。その内、術も解けて、 」



頭上で人の話し声が聞こえる。体が痛い。地面の上なのかな。……え。地面?



回らない頭で、眠る前の事を思い出してみる。

確か、鬼と対峙していて、危ないと思ったところで風柱様が来て下さって、それで、それで。

つまり、この声は、



「 え、ぇ、わ。し、失礼しました。 」



目を開くと、そこには風柱様と蟲柱様。

辺りは他の隊士の声が聞こえる。

今この場で私の為に手間を取らせてしまっている事は明々白々で、ばっと上半身を起き上がると慌てて頭を下げた。



「 あらあら、意外と元気そうですね。具合の方は如何ですか?不死川さんったらうっかりして、鬼の術が何か分かる前に首を斬ってしまったようで。柱の癖に、ねえ? 」

「 あ゛?殺したから良いだろうが。大体、生きてんだから良いだろォ。自業自得だ。 」



それは勿論お言葉の通り。彼が来てくれなければ、今頃死んでいたのかも知れないのだから。

今更、安堵に一気に体が弛緩して、ふらりと上半身が揺れる。それを、蟲柱様の細腕に支えられ、四肢を叱咤してみるが一度緩んでしまったものは中々元に戻らないらしい。

そんな私を気遣ってか、何でもないように笑いながら



「 ふふ。あんな風に言っていますが、心配していたんですよ。 」



そんな風に、こっそり、蟲柱様に耳打ちされて、何だか申し訳ないような気持ちに擽ったくなる。


普段、粗暴な風柱様が意外と面倒見がよく、情が深いと言うのは、隊士の中でも相応に認識している事実。


チラリ、と。様子を窺う様に風柱様を覗き見ると、鋭い視線をぶつかり慌てて目を伏せ、謝罪を口にする。

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