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[鬼滅]甘さも過ぎれば毒となる

第1章 咲き初め




猫のようなまあるい、目。

月下に照らされ怪しく金に揺れる。

女のようにも、男のようにも見える鬼は、` 鳴き声 'を上げて笑う。

そこにきっと意思はなく、理性もなく、本能の塊として、捕食対象を見付けた、と笑った。


本能的に、死を直感したのか、抵抗する気さえ失せて、剣を振るう事も、逃げる事も出来ず、立ち竦んでしまう。


「 何してンだァ?さっさと避けねェと一緒に八つ裂きにすンぞ! 」


パチリッ。目の覚める感覚に我を取り戻した気分。

この場にはなかった声に、反射的に身を投げて地面に滑り込む。



ああ、風柱様が来て下さったのね。良かった。



上空で荒々しく吹き込んだ、一閃。芸術にも見えるその姿に見惚れた一瞬、鬼が此方を向いて、ニタリ、と嘲笑う。死の間際に放った、血鬼術。

それは酷く不安定で、諸刃の剣。しかし、しかし ―――― じんわりと体温が上がったのを感じ、次には焼けるような痛みを下腹部に。渾身の一撃としてこの身に降りかかってしまった。


何処か遠くで、鳴く声が聞こえた。

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