第2章 花客
「 あの、アオイさん…、良い、んでしょうか。私、会ってしまって。 」
「 自業自得です。後で、しのぶ様に診て頂きますが、その後はベッドにでも括り付けておきましょう。でも、お昼の話も聞きましたが、…茗さんが引き寄せている感じも、しますよね。あ、これはあくまで私の憶測ですけど。 」
「 う…、やっぱり、そうなんでしょうか? 」
「 …あの、何の話ですか? 」
緑の羽織を纏う少年が伺い立てる様に口を開く。
此処に居ると言うことは隊士だと思うが、生憎階級が違う為か、見覚えはない。
相も変わらず、黄色の、蒲公英のような少年は完全に怯え切って緑の少年の後ろに隠れてしまっている。
逡巡する私を他所に、諦念の意を抱いて口を開いたのは、アオイさんだった。
―――― 嗚呼、花の匂いは貴女だったのか。
その言葉で、部屋を禁ずるだけでは済まなかった事を悟った。彼は嗅覚が優れるらしいが、それを抜きにしても、きっと、何処まで届くのかは分からないが、結構な範囲に効果は及んでしまうのだろう。
なんと、陰湿で、なんと、淫らな術か。
その発生源が紛れもない私である事実が何とも心苦しい。
未だ、花さえ散らした事も無いと言うのに。