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[鬼滅]甘さも過ぎれば毒となる

第2章 花客






「 …何をしている。 」

「 ア゛ァ゛?! 」

「 ………はあ。冨岡さん。何用ですか。 」

「 軟膏を貰いに来た。 」



私の背後、つまり、風柱様の背面より聞こえた、淡々とした静かな声。柱が三人、揃って一室の前で騒いでいるのを見付ければ不信感を抱くのも仕方が無いとは思いつつ、一気に不穏が増したのは、私でも知っている、風柱様と水柱様の仲の悪さ。加えて、他の柱の方とも馬が合わないだとか、何だとか。

動くな、と言わんばかりに、風柱様に肩を掴まれ、蟲柱様も場を収束させるために、一歩、水柱様に近付く。

背後では声のみのやり取りが聞こえ、どうやら、軟膏の受け渡しに行く事が決まったらしい。

私は部屋から出なければ良いだけなのだから、気を使って下さらなくても良いのに、と恐縮するばかり。

しかしそうして、被害を広げずに済んで安心した、と思ったのも束の間、目の前に覗く、涼し気な顔立ち。



「 ………不死川、女がいたのか。 」

「 違ェよ。テメェが居るとややこしくなる。さっさと失せろォ。 」

「 違うなら、良い。名は? 」

「 階級、戊。楪、です。楪茗、 」

「 だァから、消えろつってンだろ!お前も一々答えなくていい。 」

「 楪、か。俺は、 」

「 無視するとは良い度胸じゃねェか、殴るぞ。 」



もう殴っている、と言う言葉と共に殴られた頭を摩る水柱様。凄い音がしたとハラハラしている私を他所に、矢張り柱の間では至極当たり前の光景なのかも知れない。



「 冨岡様、ですよね。存じております。 」

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