第2章 花客
相変わらず困惑の色を広げたままの恋柱様は、先程、どうにかこうにかして追い出した風柱様の経緯を簡潔に伝える。
———— そう。あの後、せめて病室まで付き添うと、何かと責任を持ち出し、…この時点で蟲柱様は口実だと笑っていたが。共に連れ立って訪れたこの病室。丁度、鎹鴉から受けた報告で急いで駆け付けてくれた恋柱様と遭遇。
「 しのぶちゃん!言われた通り、沢山の本を持って来たわ。 」
「 暫く閉じ籠って頂く事になるので、退屈しないようにと。ここには医学書くらいしかありませんから。 」
「 そ、そんなお気遣いまで頂いてしまって、すみません。有難う御座います。 」
「 ううん、良いの。貴女の方がとっても大変だもの。気にしないで! 」
それより、と続けた恋柱様は、どういう状況、と私の背後を陣取る風柱様を一瞥するが、そんなものを気にする事もなく、持ってきてくださった本を適当に手に取りこんなもんに興味有ンのか、と無関心に呟いていた。