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[鬼滅]甘さも過ぎれば毒となる

第2章 花客




黒い笑みはまるで鬼の形相、蟲柱様。

綻ぶ笑みに困惑を乗せる、恋柱様。

そんな恋柱様におどおどと明白な動揺を浮かべる、蛇柱様。

そして、あからさまにバツの悪そうな、音柱様。

察するところからすると、好奇心に唆された男性お二人が内密に忍び込んだと言うところだろう。


「 伊黒さん、どうして此方に? 」

「 宇髄めに唆されただけで、他意はない。 」

「 蛇が唆されただなんて、可笑しな話ですねえ。宇髄さん? 」

「 あんな報せを聞いたら地味に気になるだろ。 」

「 はあ…、まあ良いです。判断材料は多い方が良いですから。それで、お変わりは? 」


特にないみたいです、と。各々口を開こうとした刹那、ふわりと強い藤の香が肺を満たした。

遅れて揺れる髪。眼前には、四つの鋭い刃先。


「 ひ、ぇ…… 」


目視を許さないほどの鋭さを以て蟲柱様が二つのメスを突き立てたのだろうが、それが私に届く前に、蛇柱様と音柱様の刀が阻止している。

呆れた様子で蟲柱様が溜息を吐き出したのを合図に、それら全てが納められた。



「 し、しのぶちゃん?! 」

「 実験の一環ですよ。派手好きの彼が、無関心を決め込む彼が、弱いものは捨て置くお二人が。どのような対応をするのか。最も面倒な事に、無自覚なので如何しようもありませんが。 」

「 仮に、既に術中だと言うのなら、厄介なものだな。実に面倒だ。不愉快極まりない。 」

「 ド派手で良いじゃねえか。嫌なら会わずに解けるのを待てば良い。 」

「 …それが、出来たら…、苦労しないと思うわ。 」

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