第6章 お出かけ
全速力で帰ったが、結局家に着いたのは日が昇ってだいぶ経った頃だった。
はぁ、結構時間かかったな。眠い.......
大きな怪我はなく、五体満足で帰ってきたはいいが、娘たちとの約束は破ってしまった。
さすがに二人とも起きてるだろうしなぁ。怒ってるかな?
そっと玄関に入った瞬間、お腹に衝撃が走り「ごふっ!!」と女らしかぬ声を出してしまった。
何!?敵襲!?
珠/真「おかあさん!!」
お腹への衝撃は双子が原因らしい。よく見たら二人ともまだ寝着のままだった。
佳「おかえりなさい、芳華さん」
『ただいま、佳恵子さん。遅くなりました』
佳「二人とも、芳華さんがいないって、ご飯も食べずに起きてからずっと玄関にいたんですよ」
『そうなの!?』
驚いて二人を見ると、栗鼠のように頬を膨らませて拗ねていた。
珠「お母さんの嘘つき!!珠希たちが起きる前に帰ってくるって約束したのに!!」
『ごめんね、お仕事が長引いちゃったの』
真「起きたら目の前にいるって約束だったのに.......」
『ほんとにごめんね。約束破ったお詫びに、今日はずっと一緒にいるから』
真「ほんとに?」
『うん。そうだ、みんなでどこか出かけようか?そろそろ新しい着物も必要みたいだし』
そう言うと二人して目を輝かせた。
珠「珠希、新しい髪飾りも欲しい!!」
真「真望は甘い物が食べたい」
『わかった!じゃあ、とりあえず着替えてご飯食べようか。みんなで一緒に食べようね』
珠/真「うん!!」
「行っといで」と言うと、二人とも手を繋いで、にこにこしながら部屋へと戻っていった。
怒った顔もマジ天使。可愛すぎる!!でもまぁ、機嫌が直ってくれて何より。私もお風呂入って着替えないと。
佳「お怪我は?見たところ大きな怪我はなさそうですが」
玄関に上がるために靴を脱いでいると、佳恵子さんが眉を下げて聞いてきた。
『肘を掠ったくらいだから大丈夫。お風呂入ってくるから、二人の着替えを見てあげて。出かける用のいい着物にね』
佳「わかりました。脱衣場にお着替えを用意しておきますね」
『お願い。二人の着替えが終わったら、佳恵子さんも着替えてね。楓が帰ってきたら出かけるから』
「はい、わかりました」
荷物を佳恵子さんに任せると、そのまま風呂場へと直行した。