第5章 無限列車
side 鬼舞辻
猗「ご報告に参りました、無惨様」
鬼「〝例のもの〟は見つけたのか?」
猗「調べましたが確かな情報はなく、存在も確認できず───・・・
〝青い彼岸花〟は見つかりませんでした」
鬼「で?」
猗「無惨様のご期待に応えられるよう、これからも尽力致します」
まるですべきことを成してきたように言う猗窩座。しかし、右腕は切り落とされたまま修復しておらず、顔は僅かに爛れていた。
無「〝あの者〟は?その様子では、またもやられてぬけぬけと帰ってきたようだな」
猗「.......申し訳ございませんっ」
無「たかが人間。鬼が人間に勝つのは当然であろう。私の望みは鬼殺隊の殲滅。たった一人を除き叩き殺して、二度と私の視界に入らせないこと。そして、
〝栗花落芳華〟を私の元へと連れてくること。
複雑なことではないはずだ。それなのに未だ叶わぬ.......どういうことなんだ?」
苛立ちは増し、手に持っていた本を破り捨てる。
「お前は今、私の期待に応えられるように力を尽くすと言ったな。だが、実際はどうだ?柱を始末することも出来ず、あの場にいた三人の鬼狩りすらも始末できない。なぜ、 始末してこなかった?わざわざ近くにいたお前を向かわせたのに.......
猗窩座
猗窩座
猗窩座っ
猗窩座!!!」
鬼狩りも始末できない。栗花落芳華を我が元へ連れてくる所か、毎度毎度深手を負わされてぬけぬけと逃げ果せる始末。まるで持って役に立たない。
鬼「お前には失望した。〝上弦の参〟も堕ちたものだな」
猗「.............っ」
鬼「何としてでも栗花落芳華を〝生かして〟私の元へと連れてこい。下がれ」
猗窩座に視線をくれることなく言うと、すぐに出ていった。