第4章 〝鬼〟という存在
side 炭治郎
『当たり前は当たり前じゃない.......』
そう呟く芳華さんは今にも泣き出しそうだった。でも、悲しみの匂いはしなかった。
本当は悲しんでいないとかじゃなくて、無理やり感情を押さえつけているような感じがする。
『証明して。禰豆子が戦えると。悪ではないことを』
芳華さんは立ち上がった。月を背にして立つ芳華さんは神々しくて、まるで女神のようだった。
『───────』
炭「え?」
何か言って.......
聞く前に芳華さんは姿を消してしまった。
彼女もまた、突然幸せを奪われた一人。
自分のせいで家族が死んだと、今でも自分を責め続けている。
(『証明して』)
炭「.......証明してみせます」
それであなたの心が軽くなるなら、俺は禰豆子とともに必ず証明してみせます。
side 炭治郎 終