第3章 赤い髪の少年と鬼の少女
深く呼吸をすると、こちらを凝視する愛弟子に視線を向ける。
『無一郎、明日私の屋敷においで。稽古をつけてあげるわ。二ヶ月で柱となったことを喜ばしく思っていたけど、まだまだ稽古が足りなかったみたいね。あの程度の威圧で耐えきれずに両膝をつくとは情けない。柱であれば、あの程度は顔色一つ変えることなく、難なく超えて見せよ。あれでは鬼舞辻どころか、上弦にすら勝てるか怪しい。もう一度、基礎から徹底的に鍛え直すわ』
無「はい」
『それと』
ほかの柱、特に禰豆子を殺そうとした奴らを威圧的に見下ろす。
『柱であれば、善の鬼と悪の鬼くらい見極められなさい。それが出来ないのであれば柱など辞めてしまえ。違いも分からず、〝鬼とつくものはなんでも処分すべき〟などという極端な考えの脳みそしか持たぬ馬鹿な柱などいらぬ。私が言いたいことは以上よ』
それだけ言うと、次こそは邸に帰るために地を強く蹴った。