第3章 赤い髪の少年と鬼の少女
耀「芳華にはここで禰豆子を守ってくれるようにお願いしたんだ。頼みを聞いてくれてありがとう、芳華」
そうだったのか。だから、あの時、禰豆子が急にいなくなったんだ。
『お礼はいらないわ。あなたの指示で動くのはいつものことだし。それに傷つけてしまったもの。〝まさか〟柱の中に話もろくに聞かず、自己の感情のみで妹ちゃんを始末しようとする輩がいるとは思わなかったから』
『油断してしまった』と眉を下げて謝る彼女。その言葉に俺を押さえつけているこいつが反応した。
実「それは俺の事言ってんのか、女」
『先輩に向かってその言葉使いはどうかと思うわ。私は事実を言っただけ。それにあなただけに言ってるのではないわ。ここにいる全員に言っているのよ』
実「あぁっ!?」
天「どういうことか派手に聞かせてもらおうじゃねぇか」
柱たちが彼女を睨みつけると、さっきまで優しかった彼女の雰囲気がガラッと変わった。
全てを優しく包み込むような雰囲気から一転。まるで全てを断罪するような、鋭くて重苦しい威圧感が降りかかってくる。雰囲気に飲み込まれそうだ。息をするのも辛い。体が震える。本能が危険だと判断してる。でも、動けない!
一体どこからこんな雰囲気を出してるんだ!
『なぜ鱗滝さんや現水柱が禰豆子を認めるように嘆願し、なぜ耀哉が炭治郎と禰豆子を容認したのか。それはさっき耀哉が言った通り、この二人には鬼舞辻の追っ手が放たれているからだ。つまり、この二人が入れば、鬼舞辻は必ず姿を現す。この子たちを処分するということは、しっぽを手放すことと同じ。お前たちの己のくだらない感情のみで禰豆子を処分するということは、鬼舞辻を倒さなければならないお前たち自身が自ら鬼舞辻のしっぽを手放すのと同じ。先を見通すことなく、柱としてあるべき姿が何なのかもわからない。私は柱たちのこの現状に疑問すら覚えるわ』
実「くっ……」
柱たちも彼女の放つ威圧感に苦しそうに顔を歪ませ、冷や汗をかいている。変わらないのは隣にいるお館様だけ。最高位の柱たちすら圧倒する麗人。
これが暁柱 栗花落芳華
side 炭治郎 終