第3章 赤い髪の少年と鬼の少女
side 炭治郎
「芳華、禰豆子を連れて出てきてくれるかい?」
お館様がある場所に向かってそう言うと、風が吹いて、次の瞬間にはお館様の隣に綺麗な女性が立っていた。
誰だろう、この人。すごく綺麗だ.......
し「芳華様!」
無「師範……」
『こんにちは』
微笑んで挨拶をする彼女の手には、禰豆子の箱があった。
炭「禰豆子!!」
声を上げると、彼女は俺の方に視線を向けた。視線が合うと、何故か急に興奮していた感情が落ち着いた。落ち着いた俺を見て、彼女はまた微笑んだ。
杏「お館様、その者は一体何者なのかご説明いただきたい!」
小「お館様の隣に立つとは、気に入らない、気に入らない」
この人たちも知らないのか。この人は一体何者なんだ。
耀「そうだね。ほとんどのみんなが会ったことがないから、今紹介しておこうか。
彼女は栗花落芳華。鬼殺隊の暁柱(ギョウバシラ)なんだ」
杏「ぎょうばしら……?」
ぎょうばしらってなんだ?聞いたことの無い呼吸法だ。少なくとも鱗滝さんには教わらなかった。ということは、彼女独自の呼吸法なのか?
耀「芳華は独自に編み出した暁(アカツキ)の呼吸を使う柱だよ。芳華は無一郎より早い8歳で、しかも、たった一ヶ月で柱となった鬼殺隊始まって以来の天才なんだ。12年間、柱として私に使えてくれる、いわば私の分身のような存在でね。みんなが会ったことがないのは、芳華が隠密行動を得意としているからだよ」
蜜「そんな小さかったのに、一ヶ月で柱になるなんて!」
実「しかも、お館様の分身……だと」
耀「この中で芳華に会ったことがあるのは、行冥、しのぶ、無一郎の3人だけかな。無一郎にとっては、芳華は師範だしね」
無「はい」
さっきまでぼーっとしていた彼が目を輝かせて、彼女を見ている。
そんなにすごい人なのだろうか?でも、お館様の分身っていうくらいなんだから、きっと強いんだろうな。