第3章 赤い髪の少年と鬼の少女
産屋敷邸に着くと、柱全員がおそろいで、夢に出てきた少年が縄で後ろ手に拘束されて転がっていた。
一番見やすそうな木には先客が居たので、別の木へと降り立ち、様子を見守ることにした。
二人とも元気そうね。よかった。あの少年はボロボロで気を失ってるけど、あんな戦闘の後じゃ仕方ないか。癸(ミズノト)の割にはよく頑張った方だし。妹ちゃんの方はどこにいるのかしら?
キョロキョロと探していると、隠が少年を起こし始めた。
隠「起きろ、起きるんだ。起き……オイ。オイコラ。やい、てめぇ。やい!!
いつまで寝てんだ。さっさと起きねぇか!!柱の前だぞ!!」
炭「!?」
あ、起きた。雑だな、可哀想に。怪我してるんだから、もう少し優しく扱ってやれよ。
少年は状況が飲み込めてないのか、顔に「訳分からない」と書いてある。とっても素直な子なのね。分かりやすいにも程があるだろ。
し「ここは鬼殺隊の本部です。あなたは今から裁判を受けるのですよ、竈門炭治郎くん。裁判を始める前に、君が犯した罪の説明をして……」
杏「裁判の必要などないだろう!鬼を庇うなど明らかな隊律違反!我らのみで対処可能!鬼もろとも斬首する!」
天「ならば俺が派手に頸を斬ってやろう。誰よりも派手な血飛沫を見せてやるぜ。もう派手派手だ」
密「(えぇ?こんな可愛い子を殺してしまうなんて。胸が痛むわ。苦しいわ)」
行「あぁ……なんというみすぼらしい子供だ。可哀想に。生まれてきたこと自体が可哀想だ」
無「(なんだっけ、あの雲の形。何て言うんだっけ)」
今の柱は話も聞かないのか。善と悪すら見分けられないようでは柱も落ちたな。
気持ちは分からなくはないが、思慮が浅い。自分が信じることのみを信じるのは、時として身を滅ぼすこともある。
後で忠言しておくか。