第6章 俺の友達が多分恋をしている件について
「伊之助、今日静かだな。」
確かに今日の伊之助は
何故だかまともに会話に参加している。
今日の話題なんてちゃんなんだから
”女子は雌”位にしか思ってない伊之助にとって
とても退屈な話題のはずなのだが
首を傾げて考えたり、驚いてみたり
何やら普通に”気になる”素振りを見せていた。
「…………はゾワゾワするからな。
玄のすけが気になるのも分かるんだよ。
………………あいつは本当に何か”危険”だ。」
「「「名前ちゃんと言えんのかよ。」」」
「………考えすぎて腹減った。」
驚く事にちゃんの名前を間違わずに
何にか物思いにふけるように呟いた伊之助は
先程食べたばかりなのに本当に腹が減ったんだろう
拗ねた様にゴロンと俺たちに背を向けた。
「まあけど、本当に好きとかじゃねぇと思う。」
けど本当に良い奴だぞ。何て言いながら
腹が減って拗ねた伊之助にまだ残っていた
自分の卵焼きを与える玄弥は酷く鈍感なんだろう。