第5章 俺は好きな女が手放せない件について
「…じゃあ…先いくわ。」
「………天元……もうこういうの辞めない?」
先に出ようとした俺にまるで挨拶のように
そういったは少し苦しそうで
嫌だと言う感覚とソレを楽にしてやらないと
という感覚が激しくぶつかりあって
俺は愕然とその場に立ち尽くした。
「嘘だよ。もうちょっと一緒に居たかったの。
まだ少しくらいなら大丈夫でしょ?」
そんな俺に駆け寄ってきてぎゅっ。と
俺を抱きしめたは
こんな優しい嘘をつきながら
いったいどんな顔をしているのだろうか。
「……本当………ひでぇ。」
うっかりそんな事を呟いた俺に
ごめんねなんて言いながら
鎖骨の辺りにに吸い付いたは
自分が残した跡をペロリと舐めてから
俺の目を見つめてとても優しく微笑んだ。
「これで今日は一日中、私の事忘れないね。」
俺の情けない執着心を自分のせいにしてくれる
は本当に頭の回転が早いんだろう。
本当に俺はもうお手上げなんだと思う。
に勝つ手段が1つも見当たらない。