第5章 俺は好きな女が手放せない件について
「ん”ー、私が天元に作りたいから駄目。
フルーツティーも作ったの。天元好きでしょ?」
「……何派手に可愛いこと言ってんだよ。」
そしてまたこんなに可愛いことを言う。
一生懸命俺に近づいてくるは
多分また相当眠いのだろう。
とりあえず俺にたどり着いたはいいものの
腹の辺りにコツン。とおでこをくっつけて
俺のTシャツをきゅっ。と握っている。
「可愛くないよ、なんか声枯れてるし。」
「それも可愛い……寝起きエッチする?」
少し枯れた声も少し浮腫んだ顔も
全部が愛しく感じて昨日の夜を思い出す。
珍しく”もっかい”何て強請ってきたが
可愛くて、柄にもなく酷く動揺したが
ソレは上手く隠せていただろうか。
あの後の可愛い姿がまたすぐにでも見たくて
ゴソゴソと服の中に手を入れるが
この寝坊助は今はどうにも眠いらしい。
半目のまま俺の行動に首を傾げている。
「んー、いや。シャワーしてくる。」
「なんだよっ!!じゃあ早く出てこいっ!!」
「う”ー、怒んないでよぉ。」
ちょっと、いや、とても残念で声を上げたが
怒んないで。と言ってフラフラ歩く後ろ姿が
これまたどうにも可愛らしくて
結局俺はコイツを喜ばせたいと思って
フレンチトーストを焼いて飾り付けることにした。