第4章 私は多分クソ女な件について
「……本当、綺麗な寝顔。」
綺麗だけど寝顔だけは少しあどけない。
実はとても好きなその顔をそっと撫でてから
起こさないようにそーっと布団から抜け出した。
「(そう言えばこの前、あのお店の
フレンチトーストが無くなったって騒いでたな。)」
せっかくお強請りもプレゼントも成功したので
もうひとつ”いい事”をしようと私は台所へ
気分よく向かう。フレンチトーストなんて
簡単な物でもきっと彼は喜んでくれるだろう。
「(天元は付き合いたい。…んだろうなぁ。)」
不安に揺れる瞳に苛立つのには訳がある。
彼の喜ぶ顔は見たいし
この日常は確かに”モルヒネ”ではあるけれど
”好きだ”と言う彼の愛の言葉に”私も”と
答えたことはただの1度もありはなしない。
私はそうなりたく無いんだ。
「(……そしたらもうこの関係も潮時かぁ。
新しい相手見つけないとな……嫌だなぁ。)」
けれど彼以外の誰かを見つけるのは
正直酷く面倒なことでもあるし
今日の様に”好きだ”と言わなかった日は
酷く安心して癒されるので辞めたくはない。