第3章 俺は何も知らなかった件について
「あ、あれ、もしかしてお迎えコース?」
「いや、”お前の事”を送ってくって。」
「はぁ!?……え、ちょっと待った…えぇ。」
「1回言うと聞かねぇから、諦めろ。」
一度言ったら絶対に兄ちゃんは来る。
だけど少しなんとなく、名残惜しいから
俺はいつもよりほんの少しゆっくり歩いて
ドキドキしたこの公園を抜けることにした。
「遅せェよ、どんだけゆっくりなんだよ。」
「兄ちゃんごめん。」
「すいません先生。」
案の定俺の家からさほど距離のない
公園の出口までバイクに乗って
”速攻で来た”らしい兄ちゃんは
ほんの少しだけ怒った顔をしていた。