第3章 俺は何も知らなかった件について
「んー……なんでも。怖いもんは怖いの。」
「……んなの、怖くねぇよ。」
理由は分からない。
もしかしら怖い理由聞いたのに
答えてくれないから苛立ったのかもしれないし
理由を言ってくれなきゃ不安を拭ってやれないと
自分勝手にそう思ったのかもしれないし
単純に触れたかっただけなかもしれない。
けれど何故だか身体が勝手に動いてしまい
もっともらしい台詞をいいながら
俺はを少し無理やり自分に引き寄せた。
「……玄弥のそういう顔、初めて見た。」
驚いて目を見開くの顔は
皆が言うようにとても可愛らしくて
何故かまた喉から手が出そうになって
同時に物凄く食べてしまいたいような
本当に不思議な気持ちになった。
普段ならココで俺はこの”距離の近さ”に
慌てて自分の行動に真っ赤になっていたかも
しれないが、幸か不幸かそれは許されないらしい。