第1章 俺の友達が少ない件について
「……ぷっ。駄目だ今思い出しても笑える。」
俺の入学式の日、
兄ちゃんが”お祝い”に買ってきたんだ。
家族が多い俺達は正直ペットを飼う余裕は
無かったから、実は可愛い生き物が
とても好きな兄ちゃんは半分祝いを言い訳に
チャンスだ!と”可愛い犬”を買ってきたのだろう。
小さな白いポメラニアンをコソコソ抱いて
家に帰ってきた兄ちゃんは
”祝いだァ…生き物の尊さを学べ。”
と呟いて恥ずかしそうに毛玉を俺に手渡した。
それがあまりにも似合わなくて
俺は思わず吹き出して笑ってしまい
………その後どうなったかはあの悪人面からの
印象をそのまま感じて貰えればわかると思う。
「…まあ良いか。いってくるな毛玉。」
そう言って頭を撫でてやれば
__キャンキャン。と嬉しそうに吠えて
良い子にお見送りをしてくれる”毛玉”。
一応、沢山名前候補は考えたんだ。
けどせっかくだから兄ちゃんに決めて欲しくて
頼み込んだ結果、”け、毛玉ァ……。” と
言われてしまった為この名前になってしまった。
たぶん照れていたのだと思うんだが
他にも何かあった筈なのに何故それにしたのか。
俺も頼んだ手前何となく断れず
結果この”毛玉”というそのまんまの名前になった
俺達の愛犬は中々不憫だと思う。