第1章 俺の友達が少ない件について
「あ、兄ちゃん!いってらっしゃい!!」
「ああ、遅刻すんなよォ。後でな。」
俺の通う”兄ちゃんが先生”をしている高校は
実家から少し距離があるので2人で暮らしている。
流石に仲良く2人で登校するのは何となく嫌で
兄ちゃんが先に出て俺がその30分後に家を出る。
何だかんだ”2人の時”は兄弟仲良く過ごしていて
特に不満もなくこの2人暮らしは快適だ。
「…なぁ毛玉、俺の足で腰を振らないでくれ。」
いや、訂正だ2人暮らしではない。
この”白いふわふした毛玉”も一緒だった。
毛玉というのは形容詞ではなく名前だ。
毛玉は最近発情期らしく、俺か兄ちゃんの足に
くっつき腰を振る変な癖が着いてしまい
度々ズボンを汚すので本当に勘弁してほしい。
とりあえず登校前の制服のズボンは
本気で勘弁して欲しいので抱き上げると
文句も言わずに可愛らしく首を傾げる。
「…お前大きくなったなぁ。
家に来た時はあんな小さかったのに。」
少し大きくなっても毛玉はとても愛らしい。
真っ白なポメラニアン。俺たち兄弟には
確実に似合わない愛犬を買ってきたのは
あのキングオブ悪人面の兄ちゃんだ。