第2章 俺の弟がモーゼじゃ無くなった件について
「…い…いや、意味深にも程があるだろォ。
どんだけ隠すの下手くそなんだよ…………。」
先程の台詞だけ言い切って消えた
煉獄の見えない背中にとりあえず呟いてから
もう手がかりの無い俺は
仕方なくスマホを取り出してこの”謎”を
恐らく解決できそうな人物に電話をかけた。
「…なあ、悪ィんだけど今日呑めねェか?
ちょっとな………あぁ、生徒の事で…ああ。
いつもん所で良いだろ、奢ってやる。ああ。」
単純に遅れての入学ならば学園長の性格も
考慮して正直うちの学校なら有り得る話。
そして煉獄があんなに焦って隠す理由も無い。
詰まるところ”バレたらヤバイ”何かがある
という事実に繋がって、それが何か…と
考えれば一つだけ結びつく物があったのだ。
5年ほど前に”改定された少年法”
15歳以上の犯罪歴は大人と変わらずに記されて
消えることなく一生付きまとう事になる。
が”何かをやらかしているのなら”
煉獄の焦った行動の説明がしっかりつく。
「……何でここまでやってんだ俺はァ…。」
とりあえず、さっきのデータを
電話をした”青年犯罪”を担当している
友人の匡近に渡そうとコピーをしながら
”何でこんなに気になるのか”
俺は酷く腹を立てながら頭を抱えるしかなかった。