第2章 俺の弟がモーゼじゃ無くなった件について
「木漏れ日の家…あいつ施設育ちなのかァ。」
どうやら親は居ないらしい。
家族やその他の欄には何も書いておらず
中学卒業まで”木漏れ日の家”という施設に
身を置いていたとソレだけが備考の欄に
何故が赤字で記してあった。
「ん”ー。何か聞いた事あんな、この名前。」
何故か聞き覚えのあるその施設の名前。
どうにも気になってとりあえずメモに書いて
後で調べようと思いながら
またカチカチと調べていると衝撃の事実が
目の中に飛び込んできて思わず声を上げた。
「……あァ!?…こいつ玄弥の3個上なのか!?」
18歳。早生まれらしいは
学年的には玄弥の3個上になるのだろう。
妙に幼い顔のせいでまったく気が付かなかった。
けれどやっぱり入学は玄弥と同じ年にしている。
「…………3年間……一体何してたんだァ…?」
空白の3年間。本来なら高校を卒業できる期間
いったいあの”完璧人間”は何をしていたのか。
まるで推理小説のクライマックスの様に
どうにもそれが気になってしまい
俺はカツカツと指で机を叩きながら
イライラとひたすら思考を繰り返していた。
「……不死川。…何をしているんだ?」
「おお、煉獄か………何でもねェよ。」
暗い職員室に合わせたような声色で
突然後ろから声が聞こえてきた。
珍しく静かな煉獄はほんの少しだけ
不機嫌な様にも見えて少しばかり戸惑う。