第2章 俺の弟がモーゼじゃ無くなった件について
「努力家で見た目が良くて明るく前向き
運動神経が抜群でカリスマ性もある……。」
本当は思い出したくもないが
今日はもうついでみたいなもんだと
タバコに火をつけながら、
優しい弟の希望を何とか聞いてやれないもんかとの”いい所”を口に出して言ってみた。
あくまでも周りが言う印象が殆どだが
客観視してみたら出るわ出るわで気持ちが悪い。
「気持ち悪ィ位…………完璧だな。」
どう考えても本当に完璧で
本人が言っていた様に”友達が居ない”だけが
弱点にも見えるが結果”憧れられてはいる”ので
作ろうと思えば作れるのだと思う。
「…………何でだ?」
唐突に疑問に思った”友達をわざと作らない”
のもそうだが。”気持ち悪い位に完璧”な理由。
認めたくはないが何の”努力”も無しには
到底できる芸当では無いのは確かにそうだ。
腹が立つより先にあの”雌狸の努力の理由”が
何故だか無性に気になった俺は気がついたら
操られたように学校に向かっていて
教員用のパソコンでの
生徒データをカチカチと調べ始めていた。