第2章 俺の弟がモーゼじゃ無くなった件について
「私が頑張れるのは玄弥のお陰です。
玄弥が頑張れるのは…不死川先生のお陰です。
だから、結局不死川先生のお陰ですっ!!!」
「あァ!?…あ、おい待てっ!!」
訳の分からないことを快活な声で言い放った
は丸めた賞状を無理矢理俺の
尻ポケットに入れ込んで素早く距離をとった。
「私、今回も満点ですか?」
「………ちっ。……そうだ、また”完璧”だった。」
「じゃあ、怒れませんねっ!!」
「(……俺は本当に嫌いだこいつのこと。)」
そんな事を言ってニヤニヤと悪戯が成功した
子供の様に笑ってから名残も無しに教室に消える。
本当に腹が立つ女だと心底嫌に思いつつも
後ろポケットに詰め込まれた賞状が何とも不快で
乱暴に抜き取って確認すると
間違いなく”剣道で優勝”した賞状で
あいつにとってコレは特別な物では無いのか
と思い、俺はソレを2つに折り曲げて
見えないようにバインダーに挟み込んだ。
憎たらしくも目に入るの小テストは
やっぱり当たり前の”満点”で。
それにまたイライラとした俺は
__バシンっ!!と無駄にでかい音を立てて
バインダーを閉じてから騒がしい教室へ入った。