第9章 派手男と雌狸の過去がヤバイ件について
「………ずっと、夜だったら。
天元の事好きになれたかも知れない。」
「俺は何時でもが好きだ。」
月のように沈んだ声で愛を紡ぐ姿は
本当に綺麗なのに天元を”男性”だと
認識しそうになると私は酷く怯えてしまう。
それなのに、そのまま身体を重ねてしまえば
結局安心してしまう私は
本当に心の底から駄目な人間だと思う。
「(もしかしたら私に好きだって言わなければ
私は天元の事を好きになれるのかもしれない。)」
”死んでも追いかけ回して捕まえてやる”
”俺はお前が好きだ。離せない”
繰り返し繰り返しソレを言われながら
私は貴方のお父さんに殴られていた。
”駄目……絶対逃がさねぇ。”
”好きだ。離してやれなくて、ごめんな。”
繰り返し繰り返しソレを言いながら
甘ったるく身体を重ねて天元は愛してくれる。
行動は真逆なのに感情は似てるのが
本当は時々ちょっとだけ怖い。